「貴兄……」
「早く十夜の所へ行ってやれ。それがアイツの一番の願いだ」
「……うん」
そうだね。あたしが今、十夜の為に出来る事はそれしかない。
早く十夜の元へ行って、心配かけてごめんねって謝らなきゃ。
そして、心から伝えるんだ。
十夜の事が大好きだって。
「貴に──」
「総長……っ!遊大が……遊大が奴等に連れて行かれましたっ!」
「っっ」
その叫び声が聞こえたのは、倉庫の角を曲がった時だった。
直ぐ目の前には獅鷹のメンバーである誠人くんがボロボロの姿で立っていて、その誠人くんの真後ろには同じくボロボの姿で片膝をついた匡史くんがいた。
「誠人!匡史!」
その衝撃的な姿を見て慌てて駆け寄っていく慧くん達。
「まこ、どういうことだ!」
前のめりに倒れた誠人くんを支えながら貴兄がそう問いかける。けど、誠人くんは呼吸をするのが精一杯で何も応えてくれない。
「誠人くん!大丈夫!?しっかり……!」
「……っ、ゆ……うだいさんが……」
「遊大が……連れて行かれたの?」
さっき、確かにそう聞こえた。
「はい……」
あたしの問い掛けに小さく頷いてくれる誠人くん。
「貴兄」
「クソッ。やっぱもう一人置いておくべきだった」
遊大の事だから、一人でも大丈夫だと言ったのだろう。
でも、どうして遊大が襲われたんだろう。
「貴兄、遊大は隠れてなかったの?」
いつ奴等が来るか分からないのに隠れてなかったのだろうか。


