Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「凛音ちゃん、前にも少し言ったと思うけど、十夜は凛音ちゃんとの事で沢山悩んでた。

特に悩んでたのは、凛音ちゃんがお兄さんに連れて行かれた時と、獅鷹総長と兄妹だと知った時」


「……っ」


遥香さんが言ってるのは、中田との抗争で貴兄と優音が迎えに来た時と、公園で兄妹だと暴露した時の事。


その時どう思っていたかは、マンションの非常階段で十夜から直接聞いた。


あの日の事を思い出すだけで胸が熱くなる。

十夜と想いが通じ合った特別な日だから。



「凛音ちゃんが“リン”くんだって事に気付いたのは、お兄さんに連れて行かれた日だった。

十夜は凛音ちゃんの喧嘩する姿を見て、あの時の女の子だって気付いた」



──そうだ。

鳳皇の前で喧嘩したのはあの日が初めてだった。


鳳皇メンバーは“リン”の事を知らなかったけど、十夜は知っていた。だから“リン”だと気付いたんだ。



「十夜はどうするべきか悩んでたわ。

凛音ちゃんが獅鷹と関係してる事を知った時、直ぐに遊大くんの件を思い出したから。

遊大くんの事を想って一人で乗り込んで来るという事は、凛音ちゃんは獅鷹幹部と深い関わりがあるという事。

それに気付いたからすぐに迎えに行けなかった」


「………」


「十夜はリンくんが女だって事は幹部にも話してなかったの。

幹部達が獅鷹の事を恨んでるのも分かってたし、凛音ちゃんの事を大切に思ってるのも分かってた。

だから、凛音ちゃんが獅鷹に居ると分かってても幹部達には言えなかった」


……そう、だったんだ。

だから鳳皇はすぐにあたしを見つけられなかったんだ。


あの時十夜が幹部達に話していたら、あたしはすぐに連れ戻されていた。