「でもね、不思議と納得出来たの。十夜から聞く凛音ちゃんがとても良い子だったから」
「遥香さん……」
恋敵にそんな風に思ってくれる遥香さんこそどれだけ良い人なんだろう。
あたしは絶対そんな風に思えないし、好きな人から好きな女の子の話なんて聞きたくもない。そんな心広くなれないよ。
「私ね、留学してる時からずっと相談されてたの。凛音ちゃんの事」
「……あたしの事?」
「そう。ほら、十夜って女心分かってないじゃない?だから、何かあったら相談してって言っておいたの」
相談って……遥香さんは十夜の事好きなのに……。
「ふふ。凛音ちゃん、私、相談を受け始めた時にはもう十夜への愛情は恋愛から家族愛に変わってたのよ。だからそんな顔しないで」
どこまでも優しい遥香さんは、少しの変化も見逃さないらしい。
ふわりと花のように微笑んで、あたしの心を軽くしてくれる。
その笑顔にあたしは何度救われただろう。


