Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】



「なっ!?」

「えっ!?」


あたしより前に好きな人がいた?


そりゃあたしの事を好きになってくれたんだもん。他の人を好きになる事だって有り得る。


けどまさか、ここにきて遥香さんとは別の女の人の影が出るなんて……。



「……ちょうど去年の今頃だったわ。十夜に好きな人が出来たって告白されたのは」


「………」


「本当は聞く前から薄々気付いてたの。十夜の様子がおかしいってこと」


「遥香さん……」


「聞いた時、あぁ、そういう事だったんだって納得した」


「………」


「それでね、聞いたの。『どんな女の子なの?』って」


十夜が好きになった人……あたしも気になる。


「そうしたらね、十夜はこう言ったわ。脇腹を押さえながら『俺に怪我させたヤツだ』って」


「……え?」


俺に怪我させたヤツ……?


それって……。


「……っ、桐谷さん、あの男が女だって知ってたんですか!?」


充くんが身を乗り出してそう問いかける。


「……うん。その時初めて十夜に怪我させたのが女の子だって知ったわ」


「そんな……。桐谷さんが既に知ってたなんて……」


遥香さんから聞かされた事実に唖然とする充くん。


充くんだけじゃない。あたしも驚いた。


まさか十夜が知ってたなんて……。