「なっ!?」
「えっ!?」
あたしより前に好きな人がいた?
そりゃあたしの事を好きになってくれたんだもん。他の人を好きになる事だって有り得る。
けどまさか、ここにきて遥香さんとは別の女の人の影が出るなんて……。
「……ちょうど去年の今頃だったわ。十夜に好きな人が出来たって告白されたのは」
「………」
「本当は聞く前から薄々気付いてたの。十夜の様子がおかしいってこと」
「遥香さん……」
「聞いた時、あぁ、そういう事だったんだって納得した」
「………」
「それでね、聞いたの。『どんな女の子なの?』って」
十夜が好きになった人……あたしも気になる。
「そうしたらね、十夜はこう言ったわ。脇腹を押さえながら『俺に怪我させたヤツだ』って」
「……え?」
俺に怪我させたヤツ……?
それって……。
「……っ、桐谷さん、あの男が女だって知ってたんですか!?」
充くんが身を乗り出してそう問いかける。
「……うん。その時初めて十夜に怪我させたのが女の子だって知ったわ」
「そんな……。桐谷さんが既に知ってたなんて……」
遥香さんから聞かされた事実に唖然とする充くん。
充くんだけじゃない。あたしも驚いた。
まさか十夜が知ってたなんて……。


