Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】



十夜はあたしを責めたりしないって思ってたけど、本当は不安で不安でいっぱいだった。



十夜に嫌われたらどうしよう。

一緒に居られなくなったらどうしよう。


そんな不安が心の奥底で燻っていた。



そんな事を充くんに言えば、十夜を信じてないからだって言われるかもしれない。


けど、あたしは不安がゼロになるなんて有り得ないと思ってる。


だって、不安になるのは十夜の事が好きだから。


十夜の事が大好きだから、どんなに些細な事でも不安になるんだ。










「十夜……」


嫌われたらどうしようなんて不安はもう消え失せていた。


残ったのは十夜が好きだという強い想いだけ。




「ごめんなさい……」


これ以上の謝罪は、直接会って言いたい。


十夜の目を見て、心の底から謝罪したい。





「ごめ──」


『俺は何があってもお前を手放したりしない』


「……っ」


『絶対に、だ』



……っ、十夜……。


電話越しでも分かる力強い声は、まるで自分に言い聞かせているようにも感じ取れて。

胸の奥から言い表し難い熱い感情が込み上げてくる。



『だから待ってろ』


「…十夜……」


『すぐに行く』


「……っ、うん」



唇が震えて、それ以外の言葉が出てこない。


「……っ…」


胸がいっぱいで、それ以上言葉にならない。



……本当にごめんなさい。


ありがとう……十夜。