十夜はあたしを責めたりしないって思ってたけど、本当は不安で不安でいっぱいだった。
十夜に嫌われたらどうしよう。
一緒に居られなくなったらどうしよう。
そんな不安が心の奥底で燻っていた。
そんな事を充くんに言えば、十夜を信じてないからだって言われるかもしれない。
けど、あたしは不安がゼロになるなんて有り得ないと思ってる。
だって、不安になるのは十夜の事が好きだから。
十夜の事が大好きだから、どんなに些細な事でも不安になるんだ。
「十夜……」
嫌われたらどうしようなんて不安はもう消え失せていた。
残ったのは十夜が好きだという強い想いだけ。
「ごめんなさい……」
これ以上の謝罪は、直接会って言いたい。
十夜の目を見て、心の底から謝罪したい。
「ごめ──」
『俺は何があってもお前を手放したりしない』
「……っ」
『絶対に、だ』
……っ、十夜……。
電話越しでも分かる力強い声は、まるで自分に言い聞かせているようにも感じ取れて。
胸の奥から言い表し難い熱い感情が込み上げてくる。
『だから待ってろ』
「…十夜……」
『すぐに行く』
「……っ、うん」
唇が震えて、それ以外の言葉が出てこない。
「……っ…」
胸がいっぱいで、それ以上言葉にならない。
……本当にごめんなさい。
ありがとう……十夜。


