Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】



「此処でDを潰すつもりですか?」


「……そうするのが一番いいって事、充くんも分かってるでしょ?」


「………」



無言は肯定の証。


充くんも分かってるんだ。


鳳皇に勝てないって事を。



「充くんは遥香さんを連れて逃げて。あたしは此処で鳳皇を待つから」


「そんなの駄目ッ!凛音ちゃんも一緒じゃなきゃ……」


「遥香さん!」



声を荒らげる遥香さんに小さく首を振る。



「あたしは大丈夫です。自分の身は自分で守ります」


「そんなの──」


「Dはあたしに何かするつもりはないと思います。あたしを拉致したのは鳳皇をおびき寄せる為ですから」



まぁ、ピンチになったらあたしを人質にしようとするかもしれないけど、その時は大人しくしてやらない。


これ以上鳳皇のお荷物になりたくはないから。



「だから、行って下さい」


「凛音ちゃん……」



遥香さんの瞳が戸惑いに揺れ動く。


それを後押しするように充くんが「行きましょう」と遥香さんの腕を引いたけど……。


「じゃあ私も此処に居る」


遥香さんは動こうとはしなかった。



「……っ、そんなの、」


「駄目です遥香さん!」



あたしの言葉を遮った充くんが掴んでいる手に力を込める。


けど、遥香さんの視線があたしから逸れる事はなかった。


ただ真っ直ぐ、あたしを見つめる。