Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「出て行って大丈夫なの?」


「外にいた見張りは気絶させました。此処のビルにいる人間はもういません。チヒロが上手い事してくれたので」


「智広くんが上手いこと?」



それってどういう意味?

充くんに協力してるって事?

チヒロはDでしょ?


なんでそんな充くんに味方するような事……。



「……アイツは分かってるんです。何をしても鳳皇を潰せないって事。だから……」


「充くんに協力してくれたの?」


「……はい」



鳳皇は潰せない。


そう思ってはいても、幹部だったらトップに逆らう事はしないと思う。


トップがシンみたいな我の強い人間だったら特に。



チヒロが充くんに協力しようと思ったのは、あたしと遥香さんが一緒に居たから。


あたしだけなら逃がそうなんて思わなかった筈。


チヒロが協力してくれたのは充くんの為。


遥香さんを想う、充くんの為。




「……遥香さん、あたし此処に残ります」


「えっ!?」


「充くん、シンは此処にいるの?」


「今はいない。けど直ぐに戻って来る」


「そう。──遥香さん、携帯貸してくれませんか?」


「……っ、ちょっと待って、どういう──」


「あたしが此処にいないと意味がないからです」


「意味が、ない?」



そうだ。

意味がないんだ。



「あたしはDを潰す為におとりになろうとしたんです。此処にシンが居るなら此処を動くべきじゃない」


あたしが逃げたらシンも追って来る。


そんなイタチごっこをするぐらいなら、此処で一気にカタをつけた方がいい。