Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】



「充くん、此処は何処なの?早く逃げた方が……」


「大丈夫です。シンは俺が来た事に気付いていません。チヒロが内密に教えてくれたので」


「チヒロが?」


どういう事?

なんでチヒロが……。



「シン達は遥香さんの携帯がGPS機能付きだと知らないので、自分達が呼ばない限り鳳皇が来る事はないと思ってます」


「……っ」



なんで遥香さんの携帯がGPS機能付きだって事………あ、そうだ。充くんは遥香さんの護衛をしてたんだった。


だったらGPSの事も知ってて当たり前だよね。



「じゃあ今の内に逃げなきゃ……」


「……そうですね。大丈夫だと言ってもいつ来るか分からないですから」


「でも、何処に……」


「大丈夫です。それも手配済みです」



抑揚のない声で言い放った充くんに、「そっか」と寂しそうな笑みを浮かべる遥香さん。



遥香さんからすれば、今の充くんは遥香さんの知ってる“充くん”ではないのだろう。


あたしだって今の充くんを見た時、別人かと思ったから。


だって、前の充くんとはまるで雰囲気が違う。



前の充くんは簡単に言うと穏やかで、いつも笑顔だった。


今の充くんはピリピリしていて、少し怖い。


まぁ、それは遥香さんの天敵(充くんの中で)であるあたしが此処にいるからだろうけど。