「充の居場所、知りたいですか?」
その言葉に、無言で頷く遥香さん。
「じゃあ俺等と一緒に来ます?」
「……っ、遥香さんは関係ないでしょ!!」
「……アンタは黙ってくれますか?俺は遥香さんに聞いてるんだ」
「……っ」
向けられる鋭い視線にギリッと唇を噛み締める。
冗談じゃない。
Dをおびき寄せたのは鳳皇の為にした事で、遥香さんを連れて行かせる為じゃない。
「……遥香さんは連れて行かせない」
「それは遥香さんが決める事であってアンタが決める事じゃないでしょ」
「……っ」
確かにチヒロの言う通りだ。
あたしが遥香さんを縛る事は出来ない。
けど、あたしはこれ以上遥香さんを巻き込みたくないんだ。
……どうする?
遥香さんの望みは叶えてあげたい。
でも、Dの元へ行かせる訳にはいかない。
どうすれば……。
「凛音ちゃん」
「……っ」
その声に振り向けば、微笑んでいる遥香さんと目が合って。
「遥香、さん……?」
遥香さんは笑みを浮かべたままチヒロに向き直った。
「アナタの元へは行かない」