Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】



「“D”はあたしを狙ってるんです」


「……っ、そうよ。だから、」


「だからです」


「え?」


「だからおとりになるんです」


「何を……言ってるの?」



狙われているのに自分から出ていくなんて馬鹿だと思う。


けど、今のあたしには必要な事なことなんだ。



鳳皇の役に立ちたい。

もう鳳凰妃じゃないかもしれないけど、それでも皆の役に立ちたい。


そう思ったからこの決断を下した。




「“D”を潰したくてもどこに潜伏しているのか分からない」


「凛音ちゃ──」


「それなら奴等をおびき寄せればいい」


「……っ、だからって凛音ちゃんがおとりになる事なんか──」


「それしか出来ないんです!!」



あたしには、それしか出来ない。


ううん、あたしにそれしか出来る事がないんだ。



こんなことで十夜に許して貰おうなんて自己満足だと思う。


それでも、十夜の為に出来る事があるのなら全てやりたい。



例え──この身を差し出してでも。









「遥香さん、心配してくれてるのにごめんなさい」


「凛音ちゃん……」



遥香さんに頼まれてもこれだけは引けない。


それにもう、あたしがこの繁華街に来た事はDにも鳳皇にも伝わってるだろうから。


Dが此処に現れればあたしの作戦勝ち。


あとは鳳皇が来るまでDをここに食い止められればあたしの役目は終わりだ。