「凛音ちゃんは何も悪くないよ!何も知らなかったんだから。
悪いのは私。全部知ってたのに隠していたからこうなってしまったの……!」
「……遥香さん……」
黙り込んでしまった遥香さんになんて声をかければ良いのか分からなかった。
今更ああすれば良かったなんて考えてももう遅い。
けど、それでも自分を責めなきゃこの感情は収まらないんだ。
「凛音ちゃん…みんな、凛音ちゃんの事心配してるよ」
「……っ」
“みんな”
その言葉で思い出すのは、鳳皇メンバーや獅鷹メンバーのこと。
大好きな皆の笑顔が頭に浮かんで、きゅっと下唇を噛み締める。
「凛音ちゃん、一緒に帰ろう?」
「……っ」
「みんな、凛音ちゃんの事捜してる」
「………」
「だから──」
「そんな事分かってんだよ。だから俺等は此処に居る」
「……っ、それ、どういう事?」
遥香さんが怪訝にそう問いかけたのはあたしではなくビルに凭れていた中田で。
けれど、中田は遥香さんの問い掛けには応えようとはしなかった。
それはきっと、あたしの口から直接言った方がいいと思ったから。
「遥香さん」
一時の沈黙の後、もう一度下唇を噛んで口を開く。
「あたしが此処に居るのはおとりになる為です」
「…おと、り……?」
「はい」
そう。あたしが此処に居るのはおとりになる為。
おとりになってDをおびき寄せる為。


