Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「貴音、十夜はどうする?」


「……連れて行かない訳にはいかないだろ」


「分かった。じゃあ連れ──」



嵐がそう言いながら立ち上がった時だった。


バンッと突然開いた寝室のドア。



「ちょ、オイッ!十夜!?」



寝室から飛び出してきた十夜はいつもの余裕なんか一切なくて、呼びかける幹部達を無視して玄関へと走っていく。



「十夜!どこ行くんだよ!」



耳にあてられている携帯電話と、寝室に入る前とはまるで別人のような険しい表情。


只事ではないと感じ取った両幹部達は一斉に立ち上がり、駆け寄っていった。



「十夜待てよ!!」


十夜の腕を引く煌。


けど、煌の声が届いていないのか、十夜は靴を履こうとするのを止めない。


「十夜!!」


煌と貴音が二人掛かりで引き止める。


二人相手に抵抗しても無駄だと悟ったのか、十夜はすぐに大人しくなった。



「……凛音が見つかった」


「は?」


「なんでそれを……」



まさか十夜からそんな言葉が出るなんて思っていなかった煌達は、驚愕に目を見開いた。


「聞いて──」


「十夜、その電話か?」


「……あぁ」


未だ十夜の耳にあてられたままの携帯。


それが原因だとすぐに分かった貴音は、「何があった?」と十夜に問いかけた。




「──凛音と中田が繁華街にいる」




-客観的視点 end-