煌達鳳皇幹部が十夜の傷の事を知ったのは二日前、凛音が鳳皇から出て行ったあの日。
凛音と優音が出て行った後、十夜と遥香の二人から真実を明かされた。
それは、十夜と遥香しか知らないと思っていた残酷な真実。
二人しか知らないと思っていたからこそ煌は今の状況で凛音に明かす事を反対したのだ。
それなのに、その真実は二人以外の人間も知っていた。
それを知っていたら、獅鷹に乗り込んででも十夜から直接打ち明けさせたのに。
だが、それも所詮“たられば”。
後悔してももう遅い。
「行くか」
「……あぁ」
ここでただ連絡を待ってるだけなんて出来る訳がない。
そう思った両幹部達は、貴音の一言で一斉に立ち上がった。
と、その時、コンコンと響いたドアの音。
ドアのすぐ近くにいた壱がドアを開ければ、冬吾が切羽詰まった表情で頭を下げた。
「繁華街近くで凛音さんらしき人を見掛けました……!」
顔を上げた冬吾が放ったのは、衝撃の一言で。
「なんだと……?」
「りっちゃんが繁華街に!?」
「オイ!それ本当かよ!?」
口々に声を上げる幹部達に冬吾が何度も頷いた。
「……チッ、馬鹿が。なんで繁華街なんかに……」
貴音がそう言うのも無理はなかった。
凛音だけなら未だしも、中田が傍にいて繁華街へ行く意味が分からない。
繁華街に姿を現せる事が一番危険だという事を中田なら分かる筈だ。
それなのに何故……。
「……もしかして、“D”が繁華街に居るのか?」


