一夜明けた今日、幹部を除く鳳皇獅鷹メンバー達は十夜の願いを叶える為、朝から凛音を捜しに県内を走り回った。
けれど、まだ見つかったとの報告は入っておらず、今もなお凛音の捜索は続いている。
凛音が今、中田と一緒にいるという事は分かっていた。
中田が凛音を悪いようにはしないと分かっているけれど、だからといって危険から回避した訳ではない。
むしろ、傍にいない事の方が十夜達を不安にさせていた。
あの時、確かに“D”は凛音を捕らえようとしていた。
中田が連れ去った事でそれは失敗に終わったが、きっと諦めてはいないはず。
十夜達が見つけるのが先か。
“D”が見つけるのが先か。
先に“D”に見つかれば、凛音の身の安全は保証されないだろう。
それが分かっていたから十夜達は必死に捜し回った。
「煌、凛音が見つかるまで絶対に外に出すなよ」
「……分かってる」
十夜は昨夜、獅鷹、鳳皇メンバーに自分の想いを告げた後、凛音を捜しに行くと言って飛び出そうとした。
けど、貴音がそれを引き止めた。
とてもじゃないけど捜しに行けるような状態ではなかったから。
Dとの抗争で負傷した訳ではなく、精神的にヤバいと思った。
凛音が消えた事で十夜の精神状態は正常ではなくなっていて、野放しにすれば何をするか分からない。だから止めた。


