Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


十夜の怪我に凛音が関わっていたという事実は幹部だけじゃなく、他のメンバー達にも直接十夜の口から伝えられた。



皆、その衝撃の事実に放心状態になっていて、特に鳳凰のメンバーは複雑な思いを抱えながら総長である十夜の言葉を聞いていた。



自分達のトップが大怪我したのは獅鷹総長の妹、リンの所為で。


しかもそのリンは今、自分達の大切な仲間になっている。



その事実を突き付けられた鳳皇メンバー達はどう返答すればいいのか悩んだ。



けれど、悩んでるといっても“裏切られた”や“憎い”などいう感情は湧いていなくて、ただ戸惑い、動揺しただけ。



彼等の心に負の感情がないのは、事実を知らされた後に綴られた十夜の言葉──今まで隠し通してきた凛音への想いを聞いたから。



凛音が自分を刺した男だと気付いた時の気持ち。


黒髪の男二人と去って行った時の気持ち。


その男達が獅鷹幹部だと気付いた時の気持ち。


凛音が獅鷹総長の妹だと気付いた時の気持ち。


それを……凛音に隠し続けてきた苦しみ。



そして、それをこの抗争の前に凛音に打ち明けようとした事。



今まで秘めてきた心の葛藤を全て聞いたから。



『頼む……』


メンバーに隠してきた事への謝罪と、凛音を捜して欲しいという切なる願い。



凛音を想って頭を下げる十夜の姿に、鳳皇のメンバーだけではなく獅鷹のメンバーも心打たれた。