『例のチームはどうなってる?』
『……昨夜、下の奴が数名襲撃されました』
『………』
『心配には及びません。その場で返り討ちにしましたので』
“白狼”の倉庫にある幹部室。
そこに“白狼”の総長、河上 尋雅(カワカミ ヒロマサ)と“鳳皇”の総長、桐谷 十夜の二人がいた。
“白狼”が“鳳皇”の傘下に堕ちてからこの日で一ヶ月余り。
十夜は“白狼”の動向を見る為、週に一度、この倉庫を訪れていた。
『返り討ち?それで?』
『何処の者か名乗らせ、解放しました』
『……何故すぐに連絡しなかった?』
『今日は来ると言ってたのでその時に報告しようかと』
チーム“白狼”。
彼等は一度、“鳳皇”に牙を剥いた者達。
その者達を従わせるには定期的に通い、“鳳皇総長”の姿を見せる必要があった。
それと同時に傘下の動向を見る。
この日もそうだった。
“白狼”の様子を窺う為、十夜は一人で“白狼”の倉庫を訪れていた。
『次からは逐一報告しろ』
『……分かりました』
だが、十夜は気付いていなかった。
従順に見えるこの男、“白狼”の総長、河上が自分を裏切ろうとしている事を。
そして。
たった今交わしてるこの会話も全て偽りだという事を。
その事に気付かなかったのは十夜が無能だったからじゃない。
十夜の洞察力を以ってしても見抜けなかったのだ。
其れ程までに河上の演技力は長けていた。
けれど、今日。
その河上の計画が無残にも崩れ落ちる事となる。
“ある人物”の登場によって。


