Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


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-客観的視点-



繁華街から車で北へ約二十分。


県境を超え、住宅地から少し外れた山の麓に“ソレ”は所在していた。


N県にあるチーム“白狼”


まだ結成されて間もないこのチームは喧嘩好きが多く、毎日の様に他チームと喧嘩している。


けれど、どれだけ喧嘩をしても薬物には一切手を出さず、女性に暴行する事もない。


彼等はただトップに伸し上がる為だけに喧嘩する。


“白狼”が欲していたのは“鳳皇”が持つトップの座“だけ”だった。



喧嘩三昧の日々を送っていたお陰で“白狼”の結束力は向上。


だが、県NO1の“鳳皇”に勝つにはまだまだ力が足りない。


それなのに、先日。


“白狼”は無謀にも県NO1の“鳳皇”に喧嘩を売った。


勝てる訳がない。

誰しもがそう思った。


だが、勢い付いた“白狼”は止まらない。


鳳皇幹部数人が出払っている時を狙い、奇襲をかけた。


けれど、幹部がいないと言ってもやはり県NO1。


勢いだけで勝てる相手ではなかった。


“白狼”は“鳳皇”にあっけなく敗北し、“鳳皇”の傘下へと顛落。


“白狼”は“鳳皇”に屈する事となった。



トップに執着し続け、喧嘩を繰り返してきた“白狼”が何故大人しく“鳳皇”の傘下に成り下がったのか。


トップになりたいのであれば傘下になる事を受け入れる必要はない。


それとも傘下になってまで“トップ”になりたかったのだろうか。


“鳳皇”というチーム名で?


答えは“NO”、だ。


“白狼”が“鳳皇”に無謀な喧嘩を売り、傘下になった“理由”。


それは。


内部から“鳳皇”を崩す為。


“外側から駄目なら内側から”



それが“白狼”のトップ、“河上”



──いや、“シン”の計画だった。