『リンも遊大を病院送りにした奴を捜しに来たのか?』
『うん』
『総長には?』
『……うっ。言ってないです』
『だと思った。総長がお前一人で来させる訳ねぇもんな』
……はは。よく解ってらっしゃる。
ツンとあたしの頭頂部を押した直弥さんは呆れた顔であたしを見下ろしていて。
『俺等知らねぇからなー』
隣にいた誠人くんは悪戯小僧のような顔で笑っていた。
『おっと。こんな事してる場合じゃねぇな。遊大を病院送りにした奴捜さねぇと』
直弥さんは誠人くんに『お前はあっちへ行け』と指示し、
『えー、俺一人ー?』
文句を垂れる誠人くんを無視してあたしの手を引いた。
誠人くんはBCの通りへ行き、後に来るという獅鷹メンバーを待ちながら怪しい奴を捜す。
あたしと直弥さんはBCの裏通りを。
『リン』
『分かってるよ、直弥さん』
無茶はしない。
見つけたらすぐに知らせる。
『──さて、遊大が目を覚ます前に見つけられるかな』
あたし達は分かっていた。
そんなに簡単に見つかるものではないという事を。
遊大に―――獅鷹の幹部に手を出したんだ。余程の馬鹿じゃない限りやった奴本人がこの辺をうろつく事はないだろう。
けど。
『……見つけるよ、絶対』
見つけて見せる。
絶対に。


