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『お釣りはいいです!』
財布から二千円取り出して、失礼だと思いながらもタクシーの運転手さんに突き出した。
タイミングよく開いたドアを内側から更に押し開け、勢いよく外に飛び出す。
BCは繁華街の東側に位置しており、大通りから一本外れた通りにある。
タクシーから降りたあたしは大通りを横切り、BCの裏通りを目指した。
『すみません!』
休日なせいもあってか大通りだけじゃなく裏通りも人が多い。
行き交う人々の間をすり抜けていくのは結構困難で、擦れ違い様に肩をぶつける事もあった。
確かこの辺がBCの裏だったような……。
人込みから逃れ、行き着いた先は裏通りから更に一本中へ入った薄暗い道。
この辺は結構複雑な造りになっていて、あたしも何となくしか知らない。
遊大はきっと、BCの通りを歩いていて誰かに裏通りへ連れて行かれたんだと思う。
一体誰が遊大をあんな目に……?
『……アレ?お前、もしかしてリン?』
『え?』
『やっぱり!お前こんな所で何してんだよ!?』
『ま、誠人(マコト)くん?直弥(ナオヤ)さんも!』
呼ばれて振り返ってみたら、なんとそこにいたのは獅鷹のメンバーで。
『なんで……』
二人が此処に?
『俺等、繁華街で遊んでてさ。そしたら総長から連絡きて。遊大の事聞いてすっ飛んで来たんだよ』
……あぁ、成る程。貴兄が言ってた下の奴等って誠人くん達の事だったんだ。


