『見当は付いていない。……けど、遊大をやった奴等は必ず見つけ出す』
『……そうだね。で、遊大は何処でやられたの?』
『繁華街だ』
……繁華街。
『確か下の奴等とゲーセン行くって言ってたな』
『繁華街のどの辺?』
『BCのすぐ近く』
……BCのすぐ近く?
BC。
正式名称 Black Cherry(ブラックチェリー)。
元獅鷹幹部がやっているカフェで、あたしも貴兄達とよく行くお店。
そのお店の近くでやられた……?
『下の奴等にはもう動いて貰ってる』
『繁華街なら目撃者いるかもしれねぇしな』
……目撃者。
その言葉を脳内に取り込んだ瞬間、あたしは踵を返し、来た道を戻っていた。
目撃者がいるかもしれない。
そう思ったらジッとしていられなかった。
脳で考えるよりも先に身体が勝手に動き出して。
“早く早く早く”
その言葉だけが脳内を埋め尽くした。


