『チッ。アイツが目を覚まさねぇ事には状況が掴めねぇ』
『……嵐、それは仕方ないよ。遊大をやった奴等は遊大が目を覚ましてから事情を聞いて捜そう』
どうやら時人くんと嵐ちゃんも揃っているらしい。
チラリ、頭を傾けて向こうの様子を窺えば、四人は多目的スペースらしき所で話し込んでいた。
テーブルやソファー、テレビ、自動販売機まで設置されているそこはお見舞いに来た人達が利用しているのを見た事がある。
今は貴兄達以外利用している人はおらず、廊下にも患者さんらしき人が数人歩いているだけだった。
『──貴音、お前はどう思う?』
『………』
『遊大をやった奴等、見当付いているのか?』
遊大を……やった奴等。
嵐ちゃんのその言葉に拳を握る力が更に強くなった。
それと同時に静まった怒りが再び浮上していく。
……許せない。
遊大に怪我をさせた奴等、絶対に許せない……っ!!
遊大に一体何があったのか見当も付かないけれど、あたしには理由なんてどうでもよかった。
遊大が怪我をした。
それが許せない。