「あぁ、そうだ。俺は勝つ為なら手段を選ばない」
「テメェ……」
顔色一つ変えず、さらりとそう返答したシンに煌が足を一歩踏み出し、怒りを露にさせる。
それを直ぐ様十夜の左腕が止めた。
「お前等の思い通りにはさせない」
そう発したのは煌を引き止めた十夜ではなく今まで黙っていた貴音。
煌ほど感情を表に出していないが、貴音も大事な妹に手を出され憤っていた。
「……クッ。ククク……アハハハハ……!」
けれど、シンはそんな貴音の怒りなど屁とも思っていないのか、腕を組んだまま身体を前に倒し、突然狂った様に笑い出す。
その笑い声に何事かと驚き、振り返る彼方達。
壱と時人もまた会話を止め、振り向いた。
未だ笑い続けているシンに幹部達の視線が再び集まる。
「何が可笑しい?」
「もう遅いんだよ」
「あ?」
顔を上げたシンは愉快で堪らないとでも言いたげに笑っていて。
その表情を見た瞬間、十夜達の表情にピシリと亀裂が走った。
「どういう意味だ」
それでもそれを露にさせる事なく静かにそう問い掛けた十夜。
「もう“仕上げ”の段階まで来てるんだよ」
「……っ、だから何の事かって聞いてんだろうがっ!!」
シンに食って掛かる煌は十夜とは違い冷静さを失っていた。
見えない闇がじわりじわりと音を立てずに忍び寄ってくる。
煌はそれを第六感で感じ取っていたのだ。


