一方十夜はと言うと、電話を切った後、充同様マイクに声を拾われない様小声で電話の内容を説明していた。
「……野郎……」
説明が終わった後、貴音達の瞳に灯ったのは新たな決意と怒り。
状況が状況なだけに話し合う余裕などなく、十夜はただ簡潔に電話の内容を伝える事しか出来なかった。
だが、幹部達に話し合いなど必要ない。
言葉など交わさなくても皆思っている事は同じだったから。
「“さっさと終わらせて凛音の元へ行く”」
十夜達の心の中にはもうその言葉しか存在していなかった。
シンを潰し、捕らえられた優音を助け出して倉庫へ戻る。
ただ、それだけ。
その為にはこの部屋から脱出しなければいけない。
「やるぞ」
それからの幹部達の行動は早かった。
嵐と彼方、陽の三人は再び閉ざされた扉へと向かい、体当たりをかます。
壱と時人はひび割れた窓を開け放ち、どうにかして降りられないかと思案していた。
残った総長、副総長の四人は合図する事なく窓の方へと歩き出し、窓際でシンと対峙している。


