「……どういう事だ?」
幹部達は顔を見合わせた後、隣の建物に居るシンへと目を向けた。
シンはうっすらと愉しげな笑みを浮かべたまま十夜達を傍観していて。
余裕溢れるその微笑に十夜の拳がグッと強く握り締められる。
「凛音、お前は何もするな」
『……っ、十夜!?』
「いいから!!」
『………っ』
「すぐ行く。だから──」
怪我だけはするな。
十夜の口から洩れたのは、聞き取れない程か細い声で。
「凛音、充に代われ」
『……っ、分かった』
凛音はそれ以上十夜に何も言えなかった。
言えなかったのだ。
今の一言で十夜の心情が嫌という程解ったから。
今まで何度も心配させてきた。
これ以上心配させたくはない。
だから素直に頷いた。
少しでも安心して貰えるように。
『もしもし』
「充。凛音を連れて逃げろ」
『………』
「奴等がそこに居るという事は目的は凛音だ。だから、隙を見て逃げろ。俺達もすぐにそっちへ向かう」
『……分かりました』
チヒロに会話の内容を悟られない様必要最低限の返事しかしなかった充は、耳から徐に携帯を離し、静かに電話を切った。


