Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】

「チッ」


チヒロが凛音の元へ向かった。


それを理解するや否や十夜はポケットから携帯を取り出し、電話を掛けた。

電話の相手は勿論凛音。


聞き馴染みの呼び出し音が十夜の鼓膜を揺らし、同時に室内に妙な沈黙が訪れる。


「クソッ!」


だが、その静寂もすぐに終わりを告げた。


これ以上鳴らしても凛音は出ない。

十夜はそう悟ったのか、今度は一緒に居る充へ電話を掛けた。



一秒、二秒。

受話口から洩れる無機質なコール音がただ無情に鳴り響き、十夜達の不安を煽る。


たった数秒。然れど数秒。


十夜達にとってはそれが数十秒にも数分にも感じ、コール音が続けば続く程焦りと不安が募っていった。


『──もしもし』


その緊迫感を断ち切ったのは電話の相手、充。


『──電話待ってましたよ?桐谷サン』


……ではなく、一番聞きたくなった声。


「……っ、チヒロ、」


シンが言った事は本当だった。


もしかしたら虚言かもしれない。


自分達を追い詰める為の虚言だと。


そう思っていたのに。


──否、そう思いたかったのだ。

虚言だと思いたかった。


凛音が奴等の手に落ちていないと、無事だと、そう思いたかった。


けれど、その願いは無情にも破られ、残酷な真実が幹部達に襲い掛かる。



「……テメェ、凛音に指一本触れてみろ。どうなるか分かってんだろうな」