頭上から降ってきたその声に嵐と彼方が同時に振り返る。
二人の視線が捉えたのは声の発信源、部屋の二隅に設置されているスピーカー。
そのスピーカーを見た幹部達は直ぐ様周囲を見回した。
シンを正面に見て右側の壁際。
そこに無造作に置かれていたのは会議用テーブルで、その上には今にも廃棄処分になりそうな薄汚れたパソコンが一台置かれてあった。
そのパソコンの隣にはマイクらしきものが置いてある。
それを見た幹部達は直ぐに悟った。
自分達の声が向こうに全て筒抜けだという事を。
「後でとか意味分かんねぇこと抜かしてんじゃねぇぞ!今すぐこっちへ来いや!!」
向かいの部屋へと再び視線を移した嵐がシンに向かって吼えた。
『生憎“今”はそのタイミングじゃないんでね』
「あぁ゙?」
意味ありげなその言葉に嵐の眉間の皺が更に濃くなる。
『イイコト、教えてやろうか』
ニタリ、と不気味にほくそ笑んだシンを見て、幹部達の表情が訝しげに歪む。
その表情を見て満足そうに口元を緩めるシン。
『何故此処にチヒロがいないと思う?』
「……チヒロ?」
放たれた言葉の意味が分からず、ただ顔をしかめる事しか出来ない幹部達。
「……っ、まさか!?」
言葉の意味をいち早く理解したのは貴音だった。
「……テメェ、もしかして」
『ククッ。お察しの通りだよ』
十夜もまた理解した。
シンが言った言葉の意味を。


