「遊大を離して!!」
目の前に遊大が居る事が信じられなくて。
でも、目の前に居るのは確かに遊大で。
何度確認しても遊大に間違いなくて。
「遊大を離してよ!!」
もう、混乱した頭では何も考えられなかった。
遊大が此処に居ると言う事は十夜達は一体どうなったの?
貴兄達は?
鳳皇や獅鷹、傘下の皆は?
一体、一体皆はどうなったの!?
「望み通りの反応で嬉しいですよ。凛音サン」
「……っ」
クスッ、と笑うその笑みはまさに極上とも呼べる微笑み。
けれど、極上は極上でもそれはただの極上ではなかった。
“智広くん”からは決して生まれないソレ。
“敵意”
それを微笑に孕ませ、容赦泣くあたしに浴びせる。
その刺す様な微笑に、あたしは顔を歪まさずにはいられなかった。
この沸き上がる感情は何なのか。
この狂いそうな程込み上げる感情をどうすればいいのか。
もう、分からない。
「……予定変更、か。残念ですね、凛音サン」
残、念……?何が?
クスクスという笑みはいつしかクツクツと笑いを堪える様な意味ありげなモノへと変わっていて。
その笑みに溜まった感情が爆発しそうになった。
けれど、それは軽快に奏でる携帯の呼び出し音によって踏み止められた。
隣にいた充くんがそっとポケットを押さえ、俺です、と目で合図してくる。
それにコクンと頷くと、充くんは息を殺しながら携帯を取り出し、視線を画面へと落とした。
「……桐谷さんからです」
充くんから放たれた言葉は、あたし達鳳皇側にとっての“希望の光”。


