「へぇ……。まさかアンタがそっち側に付くなんてな」
「別に鳳皇側に付いた訳じゃない。お前等に凛音を渡さない為に来ただけだ」
「無理矢理自分のモノにしようとしてた奴がよく言うぜ」
「………」
落ち着き払った中田とは反対に馬鹿にする様にハッと鼻で笑うチヒロ。
口元は緩んでいるが、中田を見据える双眸は猛禽類を彷彿させる程鋭い。
「………」
「………」
バチバチと静かに火花を散らす二人。
中田が現れるまで繰り広げられていた争いはいつの間にか鎮まっていて、倉庫内はさっきの争いが嘘の様に静まり返っていた。
敵味方関係なく皆その場に立ち尽くし、二人の行く末をただ静かに見守っている。
否、下の人達だけではない。
あたしもその中に入っていた。
目の前で繰り広げられている光景が未だ信じられず、黙って二人を見据える事しか出来ない。
だって、こんな事になるだなんて夢にも思っていなかったから。
敵だった中田はあたし達の味方になり、仲間だったチヒロと中田は敵同士になった。
一ヶ月前のあの抗争からはとてもじゃないけど想像出来ない。
それでもこれは現実なんだ。
紛れもない現実。


