「奴等は二階に居る」
「二階?そんなの何処に……」
「あそこだ」
「……扉?」
十夜が扉の方へと視線を移すと、その視線を辿っていった煌達が例の扉を見つけ、「成る程な」と数回頷いた。
「貴音達呼ぶか?」
「あぁ」
煌の問い掛けに頷いた十夜は工場内に残っていたメンバーに外を援護するよう命じ、今すぐ処へ来るよう貴音に電話をした。
「十夜、優音が消えた」
「何だと?」
数分後、十夜達の元へ来るや否やそう告げた貴音。
「マジかよ……」
予想だにしていなかったその言葉に十夜達鳳皇幹部は驚愕の声を上げ、頭を抱えた。
「今下の奴等に捜させてはいるが、既に奴等の手の内だろう」
平静を装ってはいるが、貴音の声からは少しの動揺が垣間見え、茶褐色の瞳は焦りで揺らめいている。
「何故そうまでして優音を?」
「………」
その答えは誰からも出なかった。
分からないからだ。
奴等の目的が分からない。
何故遊大を攫った?
何故優音を攫おうとする?
今まで何度も疑問に思い、何度も答えが出ないまま時だけが過ぎてきた。
けれど。
「答えはあそこにある」
答えはすぐ目の前まで迫っている。
敵はすぐ目の前だ。
「──行くぞ」
十夜達は知らなかった。
既に敵の罠に嵌まっている事を。
『──ようこそ。終焉の場所へ』
これから始まる絶望を。
「なっ……!?」
この時の十夜達はまだ知らなかった。
-客観的視点 end-


