「総長……!」
「勇介、後ろ!!」
勇介が振り返ったのをいい事に、敵が二人、勇介の隙をつき、襲い掛かってきた。
直ぐ様援護に入る陽。
「煌、彼方は向こうへ向かえ。壱は此処を頼む!」
「分かった!」
「何かあったら連絡しろよ!」
幹部達は十夜の指示通り各自持ち場へと散って行き、十夜はBチームを纏めている零の元へと向かった。
途中、十夜は向かってくる敵を軽々と薙ぎ倒し、数を減らしていく。
「零」
「……っ、総長!」
「なっ―――!」
突如現れた鳳皇総長の姿に零を囲んでいた数人の男達がピタリと動きを止め、石の様に固まった。
まるで化け物にでも出くわしたかの様なその反応。
ある者はガクガクと震え出し、ある者は怯えた顔で後退りし始めた。
共通して言えるのは、皆恐怖で青ざめているということ。
十夜はそんな男達の恐怖心を更に煽るかの様に睨みを利かし、ゆっくりと歩みを進めていく。
「……っ、」
一歩一歩、焦らす様に地面を踏み締め、距離を詰めていく十夜。
その姿はまるで獲物を追い詰める一匹の獣の様。
「…あ……ぁ…、」
男達の恐怖心が否が応でも募っていく。
溢れ出る存在感と見る者全てを圧倒する威圧感。
近付けば即座に殺られる。
誰もがそう思った。


