Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「みんな行っちゃったよ?」


最後に残った十夜に視線を移せば、十夜は壁に凭れながら不機嫌丸出しの表情であたしを見ていた。


「十夜?」


なんでそんなに不機嫌なの?


「行ってくる」


「え!?ちょ……!」


何!?


突然歩き出したかと思えば何故か擦れ違い様に頭を掻き乱され。


手が離された時には頭の上が鳥の巣状態になっていた。


「ちょ、いきなり何すんの!?」


「……さぁ」


「はぁ?」


何それ!?意味分かんないんですけど!


わざとらしくツーンとそっぽを向いた十夜に疑問符しか浮かばず。


全く、何がしたいのかサッパリ分からない。


まぁこんな時に怒るのもどうかと思い、敢えてそれ以上は突っ込まなかった。


取り敢えず、最後のエールを送ろう。



「十夜、危なくなったら逃げてね」


「……あ?」


「奴等なんか武器持ってるかもしれないじゃん!前ナイフ持ってたし!」


そうだよ!自分で言ってから気付いたけど、アイツ等ナイフ持ってるかもしれないじゃん!


ヤバイ、十夜が刺されちゃう!



「十夜、刺される前にトンズラかまして!ね!?」


「阿呆か。逃げねぇし」


「駄目駄目駄目駄目!逃げなきゃ刺されちゃう!」


「刺されねぇよ」


「そんなの分かんないじゃん!」


奴等絶対卑怯な手使ってくるんだから!