Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「まぁまぁ、凛音落ち着けって」


いつまでも玄関を睨み付けていると、貴兄がポンポンと宥める様にあたしの頭を撫でてくれた。


単純なあたしはその仕草に絆され、大人しくなる。


「良かったじゃねぇか、頭打たなくて。もし打ってたら更に馬鹿になってたかもな」


「は?はぁー!?」


ちょっと!それどういう意味よ!


大人しくなったのも束の間、嵐ちゃんの失礼発言に再び声を上げる。


「あーそれ困るわー。今でもりっちゃんに勉強教えんの苦労してんのに」


「ちょ……!」


「凛音お馬鹿さんだもんな。ま、俺も同類だけど」


「陽くん、そんなホントの事言ったら駄目だよー」


「……時人、それ、思ってても言っちゃ駄目だから」



彼方が嵐ちゃんに同意したかと思えば、その彼方に更に同意する陽。


しかも、時人くんなんてのほほーんと笑顔で貶してるし!


って言うか慧くんもそこは否定しないんだね!



「凛音、気にすんな。馬鹿は生まれつきなんだから」


「ドンマイ」


ちょ、貴兄と優音まで……!

しかも生まれつきとかフォローになってないし!


と言うか、これがお見送りの挨拶だなんて誰が思うだろうか。


あたしの返事なんて全く聞かず、「じゃあ行ってくるなー!」とまるで普通に出掛けるかの様に満面の笑みで出て行ったみんな。


しかも出て行く時、ハイタッチの代わりとでも言う様にポンッと頭に手を乗せられ。


……まぁ、若干一名、叩いた奴も居たけれども。