あたしの言葉を遮ったのは、待ち望んでいた声。


その声が耳に飛び込んできた瞬間、直ぐ様声がした方へと振り向いた。


すると、視線の先には嵐ちゃんに支えられながら降りてくる優音の姿があ


「優音大丈夫!?」


急いで優音の傍へ駆け寄った。


「なんでこんな……」


優音の左頬には数センチに渡って擦り傷があり、その擦り傷から顎に向けて一筋の血の跡がうっすらと残っている。


半袖から覗く左腕にも同様の擦り傷が見られ、所々痣にもなっていた。


他には服が多少汚れているぐらいで、骨とか折れている訳ではなさそうだけど……。



「優音、上で手当てし──」


「凛音、ごめん」


「え?」


ごめ……ん?


優音の手を引いて歩き出そうとしたその時、突如告げられた謝罪の言葉。


その言葉に動き出したばかりの足が止まる。



「俺は、遊大に二回も助けて貰ったんだ」


遊大に……助けて貰った?


「それなのに、俺は……」


優音の顔が後悔で歪む。


噛み千切らんばかりに噛み締められた下唇と眉間に浮かぶ縦皺が優音の心情を嫌という程表していて。


「優音、」


抱き締められずにはいられなかった。



一体、工場跡で何があったっていうの?

遊大が優音を助けた?しかも二回?


それよりも優音が狙われた意味が分からない。


昨日の仕返し?


分からない。

奴等の目的が分からない……!



「凛音、優音、話は上でするから行こう」


「貴兄……」





──長い時を経て揃ったピースが再び音を立てて崩れ始めた。



全ての謎が解けるのは、あと数時間後。