「充、俺はアイツを許さない。お前は、どうする?」


「……っ、俺、は……」


微かな怒りを宿した漆黒の瞳が充くんの心に問い掛けた。


お前は友達だった奴と拳を交えられるのか、と。

“D”との抗争に参戦する気はあるのか、と。


十夜の揺らぎ無い瞳が充くんに問い掛けていた。


十夜は充くんに無理強いさせるつもりはないんだろう。


友達だと思っていた人に裏切られ、訳も分からぬままリンチ。


それが充くんの心に深い傷を負わせたという事ぐらい十夜にも分かってる。


だから問い掛けたんだ。


自分はどうしたいのか。

“D”と闘えるのか。


傷を負った充くんの為に問い掛けた。



「……参戦、します。けどこんな身体じゃ何も──」


「出来る。お前には凛音と遥香を護って貰う。此処で、いや、“此処”を」


「此処、を……?」


「あぁ」


十夜の言ってる“此処”とはこの倉庫の事だろう。


あたしと遥香さんは抗争に参戦させて貰えないというぐらいあたしにだって分かってる。


そして、あたしと遥香さんが此処で待っているという事は誰かが此処にいなくちゃいけないという事も。


その誰かを十夜は充くんにと言ってるんだ。