「ふふ。もしかして十夜、凛音ちゃんに逢うのが怖いのかもね。ホラ、十夜って顔に似合わずヘタレじゃない?」
「……っ」
十夜……。
「凛音ちゃん──」
「あたし、十夜の所に行って来ます!」
クスクスと愉しそうに笑っている遥香さんに勢い良く頭を下げ、返事を聞かずに立ち上がる。
そして、先走る感情を追い掛けるかの様に玄関へと急いだ。
十夜に逢いたい。逢って抱き締めてあげたい。
大好きだよって、
あたしがずっと傍にいるからって、
そう十夜に言ってあげたい。
十夜への愛情が十夜の幸せに繋がるのなら、あたしはいくらでも伝える。
だって、あたしが十夜にしてあげられるのはそれぐらいしかないから。
それぐらいしかしてあげられないから。
「十夜!!」
だから、何度でも“好き”だって伝える。
「凛音?……っ、危な──!!」
もういいって言われるまで言ってやるんだから。
「……馬鹿が。お前、なんつー事すんだよ」
「十夜!あたしが野球チーム作れるぐらいいっぱい子供産んであげるからね!で、ずっとずっとずーっと十夜の事好きでいるから!」
「は?」
「お婆ちゃんになっても絶対にその気持ちは変わらない自信がある!だから覚悟してて!」