「な、習い事……」
そうだった。遥香さんは社長令嬢だったんだ。習い事の一つや二つあって当たり前だよね。
「十夜はその事を知っていたから繁華街で私が追われた時も充くんに護衛を頼んだんだと思う」
「……あ、」
そういう事だったんだ。やっと分かった。
あの時なんで十夜が遥香さんを鳳皇で匿おうとせず護衛にしたのか。
十夜は知っていたからだ。遥香さんが習い事で忙しい事に。
だから充くんを護衛につけた。
「まぁ、私が鳳皇に出入りすると凛音ちゃんが不安がるからっていうのもあるだろうけどね」
愛されてるね、凛音ちゃん、と言って意味有りげに笑みを零した遥香さんに顔の熱が一気に急上昇。
な、なんか照れる……。
一人でモジモジしていると、それを見た遥香さんがクスクスと面白そうに笑った。
それにまた照れる、というか子供な自分が恥ずかしくて目を合わせられない。
「凛音ちゃん、長い時間私の話を聞いてくれてありがとう。凛音ちゃんは他に何か聞きたい事とかない?何でも答えるから聞きたい事があったら遠慮なく聞いてね」
「聞きたい、事……」


