ってちょっと待って。
「一階へ戻るってなんでですか!?それに、此処へ来た時も“此処にいる条件だから”って言ってたけど……」
あの時も疑問に思ったけど、遥香さんの言ってる条件って一体何?
ズイッと身を屈めて遥香さんに迫ると、遥香さんは背筋をピンッと伸ばし、たじたじになりながら苦笑した。
「り、凛音ちゃん落ち着いて、説明するから、ね?」
その言葉にハッと我に返り、慌てて元の位置へと戻る。
「条件はね、私が十夜に出したの」
「えっ!?遥香さんが十夜に!?」
あたしはてっきり十夜が遥香さんに条件を出したものだと思ってた。
「凛音ちゃんにまだ何の説明もしてなかったから……。元カノが自分の居場所に出入りするのは誰だって嫌だもんね。だから、鳳皇に匿って貰うなら一階にいるって言ったの」
「遥香さん……」
あたしの為、だったの……?
「本当は出入りするのも駄目だと思ったんだけど、今の状況を考えるとそれは出来ないと思ったから。 それとあと一つ、毎日は来れないって言ったの」
「毎日、来れない?」
なんで?
「私の家、さっき説明したよね?私、一応社長令嬢になるから色々と習い事があってね、週の半分は早く帰らないといけないの」


