【取調室1】


普段特課部は取調室など使ったりはしない。だからこそ警察さんにとっては良い迷惑だろう。


しかしアルカナの話をするにはバックミラーがある取調室を使うしかない。


「初めまして、胡桃です」


「…湊です」


けして彼は悪い事をしたわけではないのだから取調室で話をするのはおかしいし納得していないのかもしれないけれど、こればかりはどうにもできないし特課部の本部に入れるわけにもいかない。


「ごめんなさい、悪い事をしていないのに取調室で話をする事になってしまって」


「…別に構わないです。何となく…わかってましたから」


ぶっきらぼうな性格なのかな?

明るい性格の大介とは正反対?


「あの、大介とはどう出会ったんですか?見る限りだと学校は違うみたいだし」


「…古書堂で会いました。俺は本が好きで…まぁ、信じるかは胡桃さんに任せます」


嘘はついてないってことなのかな?

私に任せるってことはそうだよね?


嘘ついてたら変に慌てたり冷や汗かいてたりしているかもしれないから


「大介はお人好しすぎです。古書堂の店長であるおじいさんと仲良くなったからって店の手伝いとかしてましたよ。しかもタダで」


大介ならあり得るかも。


「胡桃さんの話はよく聞いてました。だから貴女にこれを届けに来たんです」


胡桃と湊くんの間にある机に置かれた黒猫のキーホルダー。


私はキーホルダーを手に取った。


「どうして大介の死に対して疑問を感じたんですか?」


そろそろ本題に入ろう。

バックミラー越しにいる仲間だってそれを知りたがっている。


「…あの日、大介が亡くなった日…胡桃さん大介と会ってますよね?」


「っ!どうして…その事を」


「大介から聞いたからですよ。貴女と別れた後…大介と俺会ってたんです。そこで大介から黒猫を託されたんです。”僕にもしもの事があったら胡桃に渡してほしい”って」


「湊くん…」