《いや~彼は湊と言う高校生なんだが特課部の人と話をしたいというんだよ》
「理由は?」
《それが…その…胡桃くんに関係しているようなんだ》
っえ?
「私…ですか?でも私、彼を知りませんよ」
《胡桃くんは塔のアルカナの一件があってから多少は有名人だ。だから私はてっきり胡桃くんのファンかと思ったんだがそうでもなくてね》
「どういう意味ですか?」
《胡桃くんは確か幼馴染みは大介という名前だったね》
「え、そうですけど…」
《彼はわざわざ警察署まで来て、彼の死に疑問を抱いていてな…特課部の胡桃くんと会って話したいと言ってきているようなんだ》
「大介と湊くんの関係は?」
制服が違うから同級生ではない
親戚にもいなかったはず
《友達だそうだ。これが証拠らしい》
するとモニターに湊くんとはまた違うモノが映し出された。
それは黒猫のキーホルダー
「これって胡桃が幼馴染みに貰った白猫のキーホルダーの色違いじゃねーか」
「秀星くん、でもこれはクレーンゲームで取れるやつだから持ってる人は多いし」
あの日、確かに私は白猫…大介は黒猫のキーホルダーを手に入れた。
でもクレーンゲームで沢山あったやつだから証拠にはならない。
《恐らく湊くんは大介くんの死が世間では水難事故とされているが、それに納得していないようなんだよ。アルカナについて話したいのかもしれん》
「ボス、まさか胡桃と彼を会わせるんですか?胡桃はやるべき事があります。仮に本当に大介くんと知り合いなら”その話”をしなければならない。負担がかかります」
《それはわかっているよ。それに特課部がアルカナの事を一般人に話すわけにはいかない。だが湊くんは帰ろうとはしてくれなくてね。それにこの黒猫キーホルダーは大介くんから預かった物だと言っているんだよ》
預かった…もの?
《公になっていない事を話すということはどれだけのリスクなのか…彼は覚悟の上のようだよ》
「…ボス」
《なんだい胡桃くん。湊くんと会うかい?止めやしないが…》
「私、湊くんと話します」
どうして大介が湊くんに黒猫を預けたのか知りたい。本当に友達なのかはどうかは、まだはっきりとわからないけれど
「僕は反対だよ」
「康くん…」
「今夜、胡桃は危険な事をするんだよ?僕たちがいない…1人で。それなのに幼馴染みの辛い話を彼に話さないといけないだよ?リーダーの言う通り負担が大きすぎる」
「ありがとうございます。でも私、決めましたから」
湊くんと…話すと。
もし本当に友達なら真実を知りたいだろうし頭が切れる人ならアルカナが関わっていると断言できるからこそ特課部と話したいと思ったのかもしれない。
私達は誤魔化せない…。
「私も反対よ。でも貴女は頑固だから仕方ないわね」
「菜々子さん…」
みんな、ありがとうございます。


