「……っん…」


重たい瞼を開けると視界に映ったのは見覚えのない真っ白な天井


「私、死んだ?」


「勝手に死なないでよ」


寝ぼけながらも胡桃は声が聞こえた方に顔を向けると点滴をしながらパイプ椅子に座ってるい康がいた。


「ここ病院?」


「そうだよ。アルカナを倒した後…僕と胡桃は倒れたんだよ。煙の吸いすぎで」


「そうですか」


だから酸素マスクしてるんだ


「僕は直ぐに意識が戻ったけど胡桃は丸二日起きる様子が無くて心配したよ」


「すみません」


「でも、まぁ仕方ないよ。アルカナが倒されるまで救急隊員たち会場に入れなかったみたいなんだよ。爆発やら煙やら地震のせいで」


「でも、失敗しなくて良かったです」


失敗していたらきっと、本当にお空に飛んでいたかもしれない。


「それもそうだけど僕は胡桃が目を覚ましてくれた方が嬉しいよ」


「っえ…」


「僕一人だけが生き残るのは嫌なんだよ。それに胡桃となら死んでもいいかな?って思ったならあの時、同行したんだ」


「康…くん?」


康は真剣な目で私を見ていた。いつもお兄さんのように優しい康くんだけど、真剣…いや、怒ってる目だ。


「胡桃、死ぬ覚悟だったんじゃない?でも、僕はそんなこと許さない」


「康くん…言ってる事が違うよ?」


「……そうだね。自分でもよくわからないんだ。要するに勝手に死んでほしくなかったってことだよ。僕にとって胡桃は守りたい存在なんだ」


「でも私は刑事として動いてただけだよ。死ぬ事なんて考えてなかった」


あの時は会場内を知っているからアルカナ退治に適任してると思ったから。


「…………そっか…そうだよな」


そう言うと康は椅子から立ち上がった。


「みんな心配してるから胡桃が目を覚ました事をリーダーに連絡してくるよ。僕もそろそろ病室に戻らないといけないから」


いつもの康の表情に戻った事に胡桃は安心と戸惑いがあった。


康に初めて怒られた。

目が怖かった。


怒ると怖いって聞いてはいたけど本当に怖かった。布団で隠れていたけど手が震えていた。