「………………ん…」


カーテンの隙間から、こぼれる光で目を覚ます。


隣には優がいる。その横顔をじっと、見つめた。


無防備な寝顔、涙の跡。


昨日は真っ暗で、優が泣いている事に気付かなかったな。いや、あたしが眠ってから1人で泣いたのか?


「…………優…」


優の頬を撫でて、あたしは泣きそうになった。


もう……。この頬にも触れる事は出来なくなる。でももう……決めた事だ。


そう…決めた事…。


「っ……」


涙で、視界がぼやける。



眠った優を抱きしめていると、部屋をノックする音が聞こえた。


コンコン


「…はい、少し待って下さい」


服を正し、扉を開けると、そこには見たことのない年配の男性が立っていた。


「私は、天王寺財閥の社長、天王寺 豊だ。君は、雪城 菜智さんだね」

「優の父親!?」


そんでもって、現天王寺財閥の頂点に立つ男!?