Ⅰ. ピンポーン 少し小さめのマンションの2階の端。 そこのチャイムを鳴らすと、はーい、と少女の声がする。 ガチャリとドアを開けて出てきたのはもう高校2年だというのに化粧けのない黒髪の少女。 「裕介(ユウスケ)…いらっしゃい」 彼女…光希(ミツキ)は小さく微笑んだ。