Christmas Rose




それから数時間、馬車はようやくアステルの国境へ入った。


「・・どけー!!!!」


国境付近で何やら騒がしい声が聞こえてきた。


馬車の扉を開けると、アステルの騎士団と国境を越えようとしている男がなにやら争っているようだ。



「・・俺は毎年この絨毯を売りに来ているんだ!!入国出来ないなんてちゃんと理由を話せ!!」



「・・・他国の者を通すなと王室からのご命令だ!!さっさと立ち去れ!!」


アリスはその光景を見て拳を握りしめた。


なんて事だ・・・

他国の者の入国を拒むなど・・しかもそれが王室からの命令なんて・・


王宮で今何が起こっているんだ・・・。


「・・どうしますか・・他国の者は入国出来ないようです・・」

騎手がアリスとシドに言った。


ガタン・・・

アリスは馬車から下りた。


「アリス・・!」


アリスは顔をローブで隠し、騎士たちで封鎖されている門の前に歩いて行った。



キンッ・・・


兵士二人は歩み寄るアリスに剣を差し向けた。


「通行所は。この国の者でなければここは通れぬ」


アリスはゆっくりとローブを外し、鋭い目つきで兵士を睨みつけた。



「・・・あ、あなたは・・・・!?」