それから5日間、アリスとシドは離宮でゆっくりと過ごした。
アリスはルノアールの娘、ミアに料理を教わったり、城のすぐ側にある池でスケートをしたり。
こんなに楽しくて心穏やかに過ごせたのはいつぶりだろうか。
5日間はあっと言う間に過ぎ、城へ戻る日の前夜。
アリスとシドは離宮にある温室の噴水に腰掛けていた。
「…綺麗。よく手入れがされているのね。」
温室に咲く草花を見て言った。
「王室付きの庭師が、丹精を込め育てているんだ。」
外は冬の風が冷たく吹いているが、この温室は暖かい。
アリスは流れる噴水の水をそっとすくった。
「…アリス。ギルティに来て、良かったと思うか。」
シドの質問にアリスは首を傾げた。
「…ええ。シドは、私なんかには勿体無いくらいだわ…」
シドは他国の王族や王宮内大臣や貴族達から支持も多く、国民からの信頼も厚い。
それにかっこよくてとても優しい…
本当に、私なんか…
「…覚えているか。俺とアリスは子供の頃一度だけ会った事があるんだ。」
アリスは顔を上げた。



