コンコン

ドアがノックされ、メアリーが入って来た。

「アリス様宛にルイ様からです。」


ドクン…

ほんの二週間前にメアリーの元へ届いた手紙に、明日からアステルに入ると書かれていた。


ギルティからアステルは馬車で十日間かかる離れた小さな国。

アステルの情勢はギルティにはなかなか噂にも入っては来ない。

この国へ来てからというもの、アステルがどうなっているのか、父上や母上、姉上がどう過ごしているかなど何も分からない。


アリスは手紙を受け取った。

少し震える手で手紙を開き、文を読み始めた。


「なんでも、早馬で届いたらしいです。何かあったんでしょうか?とにかく早くアリス様に届けて欲しいって…」


メアリーの言葉に、シドも表情を変えた。


「……っ」


文を読み始めると、アリスの手がブルブルと震えた。


「…アリス?」




「……ねがい。。…お願いシド!今すぐアステルへ連れて行って!!」