Christmas Rose


「…メアリー、あなたのお父様は?」

アリスが聞くとメアリーは少し悲しそうな表情をした。

「…父は私が9歳の時に亡くなりました。母親には会ったことはありません。」


「つまり、身内は誰一人残っていないという事だ。」

シドは立ち上がり、窓辺から外を眺めた。


「…君たちの事は、マルヴィナから全て聞いた。」

シドの言葉にルイとメアリーは俯いた。


「…王家の者と侍女。確かにあまり聞こえはよくない。」


「分かっています。処分は私が受けます。」

ルイは真っ直ぐにシドを見つめて言った。


「…やれやれ。お前なぁ、身分なんか関係ない。俺たちは愛を貫く!ぐらいの事言えないのか?」

そう言われ、ルイは睨みつけた。


「…そんな顔で俺を見るな。メアリー。君は今日からこの城で生活してもらう。但し、今までのように侍女としてではなく、貴族としてだ。」


「…どういう事でしょうか?!」


「…マグ。」

シドはマグに紋章が描かれた用紙を手渡した。


「…はい。メアリー様。あなたは今は無きリオス国唯一の末裔でございます。」


マグの言葉に、3人は驚いた。


メアリーが、リオス国の…!