「…メアリー…!」
「…お待ち下さい。城を去るのは私の方です。」
メアリーは真っ直ぐルイを見つめて言った。
「…私のせいです。私が…ルイ様がここを去るなんて絶対に駄目です。」
「…君のせいじゃない。俺が…」
「…ちょっと待て。」
すると、シドがドアを開けた。
ルイとメアリーは驚き慌てて頭を下げた。
「…全く。こんな夜中に外で話し込むんじゃない。とにかく中に入るんだ。」
3人は執務室へ集まった。
「あの、シド…?」
アリスが問いかけると、マグが一枚の紙を3人の前に置いた。
そこには、さっきメアリーに見せてもらったペンダントに刻まれる模様と同じものが描かれていた。
「…これは、今は無きリオス国の紋章だ。」
リオス国…
「…リオス国は今から約100年前に王家が暗殺されて滅んだ小さな国だ。この国の今はアセラン地方に位置していた。」
その国の紋章を、どうしてメアリーが。。
「…メアリーを診察した看護婦がこのペンダントに気が付いた。メアリー、君は気を失っていながらもこのペンダントを大切に握りしめていたそうだ。」
メアリーはシドの言葉にそっとペンダントに手を当てた。
「…これは、父親から受け継いだんです。どんな事があっても他人に見せてはいけない。話してもいけない。そして、肌から離してもいけない、と…」



