「…メアリーはマルヴィナ様の侍女をしていました。それでマルヴィナ様に私達の事が知られてしまった…」
ー王子の従兄弟ともあろうお方が、城の侍女なんかと関係を持つなんて言語道断。この事がバレたらあなたは何ともない。でもメアリーは城を追われることになりますのよー
「…メアリーの家は貧しく、この城で住み込みで働いていました。既に自分には帰る場所はないと、以前話していたんです。」
マルヴィナは二人の事を利用し、ルイにアリスに近づくように指示した。
もし、アリスの気をルイに向けることが出来たら、二人の事は黙っていると。
「…こんな事、引き受けた愚かさと、まんまとマルヴィナ様の言葉を信じ、メアリーをあんな目に合わせてしまった自分を許せない…」
「ルイ様…」
マルヴィナ様はそんな事をしてまでも、シドの側室になろうと…
アリスは俯いた。
「…私は、城を去ろうと思います。これだけ公になってしまった。私とメアリーの事はすぐに広まってしまうでしょう」
「…そんな。。」
侍女と王族が恋をし合う事がそんなにいけない事なの…
アリスは納得できないと手を握りしめた。
「…お待ちください…!」
二人の背後から、メアリーの声が聞こえた。



