両手首を縄で縛られた侍女はぐったりと床に横たわっていた。
「…マグ、急いで医務室へ!」
マグが少女を背負い医務室へ急いだ。
その頃ー
城を出てすぐにある大きな深い森の中
布で顔半分を覆った女が立っていた。
「…マルヴィナ様。」
マルヴィナはゆっくりと布を外した。
マルヴィナの前で頭を下げるのは、昨晩舞踏会で騒ぎを起こした男だ。
パサッ…
マルヴィナは何も言わずに男の前に袋を放り投げた。
男が袋を開けると、中から金貨が出てきた。
「…それを持って早くこの国を去れ。」
「…ふふっ。言われるまでもねぇ。」
男はニヤニヤと金貨を見つめて懐へしまった。
「…はぁっ、」
マルヴィナは再び布で顔を覆い城へと戻って行った。



