翌朝、目覚めるとシドの姿はない。
昨日も遅くまで仕事をしてきたようだ。
「…何かあったのかな。」
着替えをすませると庭園に出た。
この国の国花であるバラが、朝露でキラキラと光って見える。
赤と白のバラの隣に、薄桃色のバラが咲いていた。
「…それは新種のバラです。」
振り返ると、ルイが立っていた。
「…おはようございます。」
「おはようございます。。新種のバラ?」
すると、薄桃色のバラを一本取ると、アリスに差し出した。
「…ええ。毎年新種のバラを育て、国王がそのバラに名前を付けることが伝統です。」
「…いい香り。。」
アリスとルイは朝の庭園をゆっくりと散歩した。
「…シドはどうしました?」
シドって呼んでいるんだ。
そう言えば従兄弟って言っていたっけ。
仲いいんだなぁ。。
「昨日から公務が忙しいようで。」
「そうですか。シドとはどうでしょうか。彼は中々不器用なところがある。」
「…ええ。。まぁなんとか。。」
ここへ来て1ヶ月以上が過ぎようとしている。
最近は少しずつ、シドとの会話も増えてきた。
「…ルイ様。」
すると、ルイの側近がやって来た。
「….ではアリス様。私は先に失礼致します。」
優しく微笑むルイにアリスも頭を下げた。
ルイ様はとても優しい方。。
アリスは貰ったバラを握りしめた。



